こんにちは!東京・都心ならではの狭小地にローコストでデザイン注文住宅を設計・施工する建築設計事務所ARCHIBLAST(アーキブラスト)設計担当の佐々木です!
本日は、GL(グランドライン・グラウンドレベル)に関するお話をさせて頂きます。
GLという言葉を聞いた方もいらっしゃるかと思いますが、
簡単に言うと、GLは地盤面のことを示しています。
建物の計画を行なう際、
高さの基準となるポイント(=BM:ベンチマーク)を定めた上で、
そこからどのくらい上がった位置を設計上の基準地盤面(=設計GL)とするか?を決めます。
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【設計GLの決め方】
基本的には「現況の地盤面をそのまま設計GLとすること」と
役所などから指導を受けることが多いです。
または「もともと建っていた建物の地盤面を、そのまま適用させること」と言われます。
要は、周りの建物との兼ね合いもあり、
新たに建築を行なう建物の設計GLを、勝手に極端に上げたり下げたりしないこと
ということです。
(もちろん、設計GLを変えたい場合は、必要な手続きを踏むことにより認可が下ります。)
【平均GL】
上記の設計GLとは違い、平均GLというものも存在します。
これは、建物が周囲の地面と接する位置の平均的な高さを示します。
建物の計画によっては、これを計算しなければならないケースがある上、
高度斜線検討や建物の最高高さなどは平均GLから計算しなければなりません。
【BMと、設計GL・平均GL】
これらの関係性を、以下の画像と共に実際に見ていきましょう。
今回は、道路上に存在するマンホールの蓋の中心をベンチマークとしています(BM=±0)。
そこを基準とし、建物の設計GLは+200に設定しました。
北・東・西側は、建物に接する地面の高さが+200ですが、
西側は車庫を設ける勾配の関係上、建物が接する部分の地面の高さは+50です。
この場合、建物が接する地盤面は以下のようになります
(分かり易いよう、建物の四隅の部分にアルファベットを記載しています)。
① 西側の建物長さ(D~A間)の4246.7mmの範囲
→建物が接する地面の高さ=BM+50
② それ以外の3方向の建物長さ(A~B+B~C+C~D間)
=8645+4246.7+8645=21536.7mmの範囲
→建物が接する地面の高さ=BM+200
となっています。
※ここでイメージが湧く方もいらっしゃるかもしれませんが、
基本的な設計GLを+200と決めたことに対し、
西側は+50の高さしか確保ができていません。
この為、平均の地盤面を計算した場合、
設計GL(=BM+200)よりも低い位置になることが想像できるかと思います。
【平均GLの計算】
上記の内容を基に、平均GLの計算を行ないます。
計算方法としては、
A:それぞれの建物面が接している長さと高さを掛けたものを合計し
B:それを全体の周長で割る
というものです。
前述の①と②より、
A:4246.7×50+21536.7×200
=4519675
建物全体の周長=8645+4246.7+8645+4246.7
=25783.4
B:4519675÷25783.4
=175.29398mm
→175mm
よって、今回の計画においては、
設計GL=BM+200mmに対し、
平均GL=BM+175mmとなります(設計GLよりも25mm下がります)。
【高さ制限に対して】
前述でも記載を行ないましたが、平均GLは
北側の隣地からかかってくる高度斜線や、建物の最高高さ等に影響してきます。
これらの検討は通常設計GLが起算点となりますが、
平均GLが発生すると、起算点はそこに変わります。
その為、今回の場合で言うと、
設計GLから見た平均GLは25mm下がっている為、
高さ制限としては25mm分不利になることが分かります。
【狭小地・狭小住宅の場合】
狭小住宅では、このあたりの検討もギリギリを狙って計画を行なうことが多いです。
急勾配の屋根の先に付く雨樋や、ルーフバルコニーの手摺など、
高さ制限を目一杯有効活用しようとすると、避けては通れない検討内容です。
ARCHIBLAST(アーキブラスト)は、東京・都心ならではの狭小地にローコストでデザイン注文住宅を設計・施工する建築設計事務所です。
狭小地でも広く感じられる住まいを建てたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。