こんにちは!東京・都心ならではの狭小地にローコストでデザイン注文住宅を設計・施工する建築設計事務所ARCHIBLAST(アーキブラスト)設計担当の佐々木です!
皆さまもご存じかとは思いますが、今回は「道路斜線制限」に関するお話をさせて頂きます。
プランのお打合せ等の際、設計士から「斜線の影響で」といったお話を聞いたことはありませんでしょうか。
「何となく聞いたことはあるけれど…」という方の為に、今回は道路斜線制限について簡単に触れたいと思います。
勾配の考え方
ここでは、住居系地域の勾配(1.25)について考えてみましょう。
①先ず、基準点を一点決めます。
②次に、その点から水平方向に1m進み、垂直方向に1.25m上がったところの点を割り出します(=勾配点)。
③最後に、基準点と勾配点を結んで伸ばした線が、道路斜線制限の勾配ラインとなります。
※商業・工業系の場合は、横に1・上に1.5行った点が勾配点となります。
勾配は「横と縦の数値の比率」で示されます。
その為、横に10・縦に12.5の場合でも、上記の1:1.25 と同じ比率(勾配)となります。
これは、屋根勾配においても同様の考え方で記載がされておりますので、図面を見る機会があれば参考にしてみてください。
斜線の基準点に関して
冒頭に、現在計画中の建物の画像を添付させて頂きました。
道路斜線の基準点は基本、計画地の対面側の道路境界線です。
その境界線から計画地に向かって斜線制限がかかってきますが…
以下の画像を見ると、道路斜線基準点が401mm左側にずれていることがわかります。
これは、道路斜線を検討する上での後退距離の緩和を用いている為です。
ここでいう後退距離とは、計画地における道路境界線と計画建物の離隔距離(=建物後退寸法)を示します。
今回の計画における建物後退寸法は401mmです。
これと同じだけの距離を、対面側の道路境界線から更に奥にずらすことができています(=道路斜線の後退緩和)。
斜線の基準点が計画地から離れる為、建物の計画においては有利になりますね。
住居系地域と、商業・工業系地域の違い
次に、斜線の影響を見てみましょう。
今回の計画地は、前面道路の幅員が4mの商業系の地域です。
商業系地域の道路斜線は水色で描かれています(斜線勾配1.5)。
計画建物が斜線よりも下に存在している為、問題無くクリアしていることがわかります。
※仮にこの計画地が住居系であった場合、道路斜線(勾配1.25)は紫色のラインになる為、斜線が計画建物に干渉してしまいます。
まとめ
以上のことから、勾配寸法が小さいほど、高さ制限が厳しくなることがわかります。
建物の高さ制限が厳しい住居系地域は、商業・工業系地域に比べて、より環境に配慮がされている地域であると言えますね。
今回の計画地は前面道路の幅員が4mでしたが、前面道路の幅が広くなる(=斜線の基準点が計画地から離れる)ほど斜線の影響を受けにくくなります。
加えて、ここで記載をさせて頂いた内容の他にも、道路斜線が緩和できる方法や条件がいくつかあります。
次回は、道路斜線制限に関する実務的な内容に触れていきたいと思います!
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狭小地でも広く感じられる住まいを建てたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。