建築士の実践的なプランニングの手順。建物の大きさを決める下準備とは?プロの視点で住宅を知りたい!学生さんお施主様へ

プランニングの下準備

こんにちは!東京・都心ならではの狭小地にローコストでデザイン注文住宅を設計・施工する建築設計事務所ARCHIBLAST(アーキブラスト)設計担当の佐々木です!

今回は、プランニングを行なう際に「必要な資料」と「最低限の情報」を記載させて頂きます。

注文住宅の建築に対する規制は、地域によって異なります。プランニングに先立ち、そういった様々な規制を把握しておかないと、後々「プランが成り立たなかった…。」ということにもなりかねません。特に狭小住宅は様々な規制のギリギリを狙っていくことがほとんどです。だからこそ、正確な情報収集を行なっておくことが非常に重要です。

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プランニングの下準備

【プランニングに必要な書類とは?】

1.地図(真北方向と、用途地域などの確認)
2.測量図(敷地の形状と面積の確認)
※注意点
測量図に書かれている方角は、真北方向を向いていないことがほとんどです。
プランニングを行なう際には、ゼンリンやブルーマップなどの資料で真北方向を確認します。
(真北方向は斜線検討にダイレクトに影響してくる為、慎重に確認を行ないます。)

【用途地域】

用途地域は、大きく「住居系」と「商業・工業系」の2つに分けられます。

1. 住居系
第一種低層住居専用地域・二種住居地域など、
名前の中に「住居」と入るのが住居系の地域です。

2. 商業・工業系
近隣商業地域・工業地域など、
名前の中に「商業」や「工業」と入る地域です。

建築を行なう場合、建物を大きく確保しやすいのが「商業・工業系」の地域です。
理由を以下に記載します。

① 前面道路幅員制限
住居系地域の場合は、前面道路の幅員に40を掛けます。
これで出た数値と、地域により定められている指定容積率を比較し、小さい方の値が実際の容積率の限度となります。(商業・工業系地域の場合は、前面道路幅員に60を掛けます。)

例)ある土地で定められている建ぺい率・容積率の指定が60%・200%で、前面道路の幅員が4mの場合。

・住居系地域である場合
前面道路幅員4m×40=160%
指定容積率よりも数値が小さくなる為、容積率の限度は160%になります。

・商業・工業系地域である場合
前面道路幅員4m×60=240%
指定容積率よりも大きな数値になりますが、値が小さい方が限度となる為、容積率の限度は200%となります。

→建ぺい率や容積率といった条件は同じでも、用途地域が住居系か商業・工業系かの違いによって前面道路の幅員による影響度が異なるため、容積率の値に大きく差が出ています。

② 道路斜線制限
住居系地域の場合は、道路斜線制限の勾配が1.25で、商業・工業系地域の場合は、勾配が1.5となります。
(以下の画像において、赤色のラインが住居系、水色のラインが商業・工業系の道路斜線勾配です。
 住居系の斜線の方が、建物にとっては不利なことが見て取れると思います。)

プランニングの下準備

【接道】

敷地に接する道路が「西側 4m」のように、主に方角と道路幅員を確認します。
※計画地の周囲の道路がセットバック前である場合は、プランニング上で駐車場を計画しても、実際に車が入らない可能性もある為、注意が必要です。

【防火指定】

大きく「防火地域」「準防火地域」「防火指定無し」の3つに分かれています。
(他に、22条区域や23条区域などもあります。)
都心部はほとんどのエリアが防火地域か準防火地域に指定されていますが、木造の場合、防火地域内で3階建ての建築を行なう場合は「耐火建築物としなければならない」等、同じ大きさの建物を作ろうとしても建築費用が大きく変わってくる場合もあります。
→防火指定が何になっているのかと、建築を行なう建物の階数・床面積の大きさに注意を行ないます。

【高度地区】

1~3種までの高度地区に分かれています。
① 1種高度:北側隣地境界線の5m上方から、6寸勾配
② 2種高度:北側隣地境界線の5m上方から、12.5寸勾配
③ 3種高度:北側隣地境界線の10m上方から、12.5寸勾配
プランニングの下準備
※これらの高度斜線を超えて建物を計画することは基本的にNGです。
狭小住宅の場合は特に、この斜線制限ギリギリを狙って計画を行ないます。

【敷地面積の最低限度】

こちらも地域により決められている内容です。
仮に「敷地面積の最低限度=60㎡」というエリアにおいて、150㎡の土地を分割しようとする場合、最低でも60㎡の敷地面積を確保した上で分割を行なわなければならない
というものです。
※このエリアにおいて、法令が定められる前からのもともとの敷地面積が60㎡未満である土地については、やむを得ない事情があるものとみなされる為、上記の最低限度の規制の対象外となります。

【その他】

地区計画・計画道路・建物高さ制限・建築協定など、上記の内容以外にも多数の種類の規制があります。

【事前準備を終えたら…】

これらの情報を全て確認し終えたら、ようやくプランニングに取り掛かることができます。
内容が多いように感じられるかもしれませんが、実際はインターネット上にほとんどの情報が公開されている為、
慣れてくると数分で一通りの確認を取ることができます。

この流れで、次回はプランニングのポイントをお話ししていこうと思います!

ARCHIBLAST(アーキブラスト)は、東京・都心ならではの狭小地にローコストでデザイン注文住宅を設計・施工する建築設計事務所です。
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