太陽と月と花
都心から少し離れた閑静な住宅地。多くの緑が目に飛び込んでくる街の一角に、2人+1匹のための住まいを計画する。更地の土地を繰り返し観察して、まわりの環境をいかに効果的に、ほしいところだけを取り入れて活かしていけるかを考えた。
1階に、必要のないものはできるだけ設けず、いろんな用途を兼ね備えた天井の高い空間がある。そこは、家具の配置や住まい手の行動によって様子が変化していく変幻自在な場所。高窓から光を取り入れつつ、外の様子も感じられる。ここは、寝室やトレーニングルーム、大きな衣裳部屋としても活躍する住まいの心臓部となる。
2階には、空のうつろいを眺めながら隣接の緑が入り込み、太陽や月と暮らすことができる吹き抜けがある。部屋にいながら、自然に星を眺めたり雨を感じたり、時には小鳥が訪れたりと、豊かな環境を日々の暮らしに強く結びつけるような、そんなくつろぎ空間を住まいの中心に据えている。
多くの可能性に満ちた若い住まい手が、いたる所で日々の暮らしに彩を見つけ、花咲かせていくような、そんな住まいになればと願い計画した住宅である。
集団規定への回答としても、要所のポイントを抑えた計画となっている。2階建てでも準耐火建築物とすることで建蔽率がアップする。それをどう活かすか。第一種高度地区の厳しい斜線制限の中で、容積率100%をいかに外部とつなげながらもっともっと広く感じさせるか。それらをポイントとしながら、さまざまなノウハウを散りばめつつ、狭小地の工法制限の中で最大限のパフォーマンスとなる構成をとっている。