暮らし方が躍動する家
低層住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街。近くに緑を宿した文化施設があり、都会の真ん中でありながら空が広く、落ち着いた雰囲気に包まれたこの地に、2人の新居を計画する。
周辺環境を観察しながら、空、緑、風を取り入れ、快適に暮らしていくためのプライバシーも同時に確保していく。
ここでは、2人のご趣味が十分に楽しめるような住まいをベースとして考え、そこから暮らしがより深くなるほどに、新しいチャレンジや住まい手の遊び心と将来への楽しみを開花させていく器としての家を計画した。
土間スペースとパーキングが大開口でつながり、大きなアクティビティピットとなってアプローチ空間に広がっている。駐車した車をインテリア的に愛でることもでき、広い縁側空間のように楽しむこともできる。
リビング吹抜けの2面にわたる窓と、カーテンなしで一体的につながるアウトリビング空間が水平にも垂直にも広がりをもって暮らしの中心に据えられている。
周辺の緑と空が一度に目に飛び込んでくるリビングは、高い手摺で囲まれたアウトリビングの半外空間と同時に在り、常に、開放的な暮らし方を支えている。
ステンレス天板のキッチンテーブルは家の司令塔の位置にセットされ、外とのつながり、空気の流れ、住まいの機能の中心となっており、ダイニング空間全体がすべての暮らしを見つめ続ける場所になる。
外壁の一部にモルタル左官を施し、室内の一部には施主自らが塗装を行うことで、「人の手で作り上げる」という、住まいで最も大切なモノづくりの心がこもった愛情たっぷりの家として、素晴らしい竣工と住まいのスタートをきることができた。
この、高く幅広い自由度をもった仕組みが将来にわたって暮らし躍動させ、いつか、住まい手独自のカタチをもった”住処”になっていく。