空へのシークエンス
都心の戸建て住宅では、空をどう取り込めるかが大切です。周辺建物も大きく、囲まれてしまうことで、陽当たりの確保が難しくなるからです。
そこで、屋外空間を感じる工夫を散りばめて、それを一連のシーンとして繋げていくことで、空を感じながら暮らしていけるように計画しました。
玄関を入ると、階段空間を通して上階に差し込む光を感じることが出来ます。リビングに入ると、道路側に空を感じることができます。そこには通常よりも高い手摺のバルコニーが計画され、屋外からの視線を気にすることなく、外部空間とつながることができます。また3階に上がる階段空間が、その上階からの光をリビングまで届けてくれることで、広いリビング全体を明るく照らしています。
3階から屋上へのルートは、一気に階段を繋げるように計画し、ルーフバルコニーへの動線の心理的距離が短く感じられるようにしています。その途中に寝室があります。そのため、3階の寝室と居室は“屋上へあがる途中からアクセスする“という意識になり、家全体の中で屋上がより身近に感じることができます。
住宅内の上下階の動きを、どうポジティブに設計に活かせるかはとても重要です。全体の部屋の配置、天井の高さ、階段1段の蹴上寸法、一連の階段のつなげ方など、どのようにもできると同時に、その関係性が与える住まい手への影響を十分に考慮して設計すれば、それが暮らしの楽しみにもなります。
この住まいでは、一連のシークエンスが空へと向かっていく、というそのルート上にリビングや寝室があることで、家族が開放的に自由で楽しく動きまわり、豊かな暮らしが紡がれていくように想いを込めさせて頂きました。