こんにちは!東京・都心ならではの狭小地にローコストでデザイン注文住宅を設計・施工する建築設計事務所ARCHIBLAST(アーキブラスト)設計担当の佐々木です!
本日は、前回までの話をもとに、実際にプランニングを行なっていきます。
3階部分については、北側に部屋を設けるのは少し難しそう…というところまで確認できましたので、
階段の位置にも意識をしてプランニングを行なっていきます。
【各階に配置するものの確認】
先ずは、どの階に何を配置するか?を決めます。
もちろん、プランニングを行ないながら調整をかけるケースもありますが、
その階に必ず配置するものを予め確認しましょう。
◎1階
玄関、車庫、部屋。
※UB、洗面所、トイレなどの水周りは、2・3階との兼ね合いで決める。
◎2階
LDK、部屋。
◎3階
部屋、バルコニー。
※プランニングの進め方は人それぞれだと思いますので、
ここに書かせて頂く内容は、一つの参考例として捉えて頂けたらと思います。
【1階】
①車庫
車のサイズは、一般的な普通車サイズで考えます(幅1.9m×奥行4.8m程度)。
今回の敷地の短手寸法は約5.5mの為、これに車の奥行きを合わせる形で配置することにします。
②玄関・階段
玄関と階段の位置は、距離が近い方が共用スペースを小さくすることができます
(=部屋を大きく取ることが出来ます)。
また、同様の理由で、階段は1階から最上階まで同じ位置に配置することも有効です。
→3階の北側は道路斜線の関係で高さを取ることが難しいと思われる為、
北側から離れた位置に階段を設けるようにします。
③部屋と水周り
部屋の大きさは、仮で6帖くらいを目安とします。
トイレは0.75帖~1帖。UBは2帖、洗面所も2帖を目安とします。
これらを基に、ある意味パズルのように各々の空間を配置していきます。
すると、以下のような形を作ることが出来ました。
※このまま仕上げの作業に移るのではなく、
上階のプランニングも続けて一通り行なってみましょう。
【2階】
①階段
1~2階の階段と同じ位置に、2~3階の階段を設けます。
②LDKと部屋
部屋は水周りと違い大きさに決まりが無い為、
全体のバランスを取って大きさを決めることをお勧めします。
※部屋の大きさの決め方について。
一つの部屋の短手の寸法は、最低でも1.25間分は取りましょう。
(1間は1820mmです。1820×1.25=2275mm。
→2275mmを確保することで、一般的なサイズのベッドをその方向に縦に置くことができます。)
2階部分の形は以下のようになりました。
【3階】
☆ここで一旦、床面積の確認を行ないます。
この敷地に設けられる最大床面積を把握・確認しておかないと、
3階にどれだけの大きさの部屋が設けられるかがわかりません。
その為、プランニングを行なった1・2階の床面積を確認しておきます。
◎1階
全体の四角の面積から、玄関前の空間の面積を引きます。
4.55×8.4175-0.91×1.365
=37.057475㎡
ここで、車庫面積の緩和も使います。
車庫の面積は、
2.73×2.73+1.82×2.5025
=12.00745
これらのことから、1階部分に関しては、
・延床面積=37.05㎡(小数点第3位以下は切り捨てます)
・容積対象床面積=37.057475-12.00745
=25.050025㎡
=25.05㎡
となります。
◎2階
4.55×8.4175=38.29㎡
です。
☆許容床面積
以前のコラムで計算を行ないましたが、
この敷地に設けられる最大床面積は77.745㎡です。
これらのことから、3階に設けられる床面積は
77.745(最大床面積)-25.05(1階の容積対象床面積)-38.29(2階床面積)
=14.45㎡となります。
この数値を超えないように、3階のプランニングを行ないます。
加えて、以前のコラムで触れた道路斜線制限を踏まえ、干渉しないように計画を行ないます。
3階は以下の形になりました。
床面積を計算すると、14.28㎡となります。
※開放性のあるバルコニーは、床面積には算入されません。
【最終的な確認】
ここまでプランニングを行なったら、最後に改めて面積関係の計算を行ないます。
敷地面積=51.83㎡
建築面積=4.55×8.4175=38.29㎡
1階床面積=37.05㎡(容積対象床面積は25.05㎡)
2階床面積=38.29㎡
3階床面積=14.28㎡
延床面積=37.05+38.29+14.28
=89.62㎡
容積対象床面積=25.05+38.29+14.28
=77.62㎡
建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100
=38.29÷51.83×100
=73.88%(許容建ぺい率は80%)
容積率=容積対象床面積÷敷地面積×100
=77.62÷51.83×100
=149.76%(許容容積率は150%)
以上のことから、建ぺい率・容積率共、許容値を超えていないことの最終確認が取れました。
【プランを振り返る】
プランを仕上げる前に、自分で作ったプランを振り返ってみましょう。
現状のプランにおいては、トイレが1階にしか配置されていない為、
3階で過ごしているときには不便を多く感じそうですね。
☆トイレの配置に関して
3階建ての建物の場合、トイレは
①1・3階にそれぞれ1つずつ配置する。
②2階にのみ、1つ配置する。
というケースが多いです。
これはお客様の感覚によるところが大きく、
「人が集まる2階のLDKにはトイレは配置したくない」という方も中にはいらっしゃいます。
今回の場合、容積対象床面積(≒容積率)が許容値に近い為、
仮に3階にトイレを設ける場合は、逆にどこかの面積を削らないとなりません。
床面積を削る方法はいくつかありますが、今回のプランニングにおける全体のバランスを考えると、
2階のLDKの一部をバルコニーにして面積不算入の空間を設けて
3階にトイレを設けるのが良いかもしれません。
【プランの仕上げ】
次回のコラムでは、プランの仕上げ作業に入ります。
階段の段数や窓の位置なども含めてお話が出来ればと思っています。
ARCHIBLAST(アーキブラスト)は、東京・都心ならではの狭小地にローコストでデザイン注文住宅を設計・施工する建築設計事務所です。
狭小地でも広く感じられる住まいを建てたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。